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長文注意: 「ひたちなかの悲劇もしくは奇跡」(その2)

その1

優遇措置を受けて地域決勝への進出が決まったチーム、それがS.C.相模原(以下「相模原」)である。

相模原のチームとしての歴史は非常に短い。創立が2008年2月というから、まだ創立して3年も経っていない。現在は神奈川県リーグの1部に在籍している。そんなチームがなぜ優遇措置を受けられたのか?

このチームの代表は、一時期ベガルタ仙台でもプレーした、元日本代表の望月重良氏である。望月氏を筆頭に、監督は元アルビレックス新潟の秋葉忠宏氏、ジュニア部門も統括する総監督には元鹿島アントラーズの名良橋晃氏と、かつてJリーグや代表で活躍した選手が中心となってチームを作り上げている。

その人脈で集められた人材は、はっきり言って県リーグレベルでは反則ともいえる布陣を敷いている。その結果、創立年の2008年には神奈川県3部リーグを全勝で優勝、翌2009年も神奈川県2部リーグをこれまた全勝で優勝、2010年も神奈川県1部リーグを二分けのみの無敗で優勝と、JFLやJリーグへ向けて着々と歩を進めている。

運営の面においても、数多くのスポンサーを獲得している。この景気の中、Jリーグにも胸スポンサーのないチームがある中、トレーニングウェアのスポンサーまでもが何社もある県リーグのチームがあるだろうか?

ということで、JFAから誘いがあったのか、相模原から申請したのか、ともかく2010年の「優遇措置枠」は相模原に決まったのである。もしこれで相模原が来年JFLに昇格したら、史上初の地域リーグをも飛び越えた「2つ飛び級」となる。

(なお、前回説明した「全国社会人サッカー選手権大会」においても、相模原は枠内の3位に入っており、優遇措置がなかったとしても十分出場が可能であったという意見もある。ただし、全社の上位が地域決勝に出られるようになって以降、都道府県リーグのチームが出場権のかかった順位になったことがなく、今後の動向が注目される)

2010年の秋、いよいよ地域決勝のレギュレーションと1次ラウンドの組み分けが発表になった。昨年までは16チームの参加で争われてきた地域決勝だったが、今年の参加チーム数は減少して12チームとなった。また、ここまで決定している参加チームが11チームであるため(2枠用意されていた全社枠で、ベスト4のうち3チームがすでに出場権を得ていたからによるもの)、地域リーグの中で最も登録クラブ数の多い関東リーグから2位のさいたまS.C.(以下「さいたま」)が参加することとなった。

Aグループ(茨城開催)

HOYO・相模原・山口・Y.S.C.C.

Bグループ(静岡開催)

藤枝・盛岡・三洋・札大

Cグループ(高知開催)

福島U・讃岐・長野・さいたま

(各グループ1位のチームと、各グループの2位の中から最も成績のよい1チームが決勝ラウンド(千葉開催)に進出)

相模原の関係者は息を飲んだに違いない。なにしろ同じグループに同じ神奈川県を本拠地とするY.S.C.C.がいるのだ。関東リーグ所属のY.S.C.C.とはもちろんリーグ戦で対戦したことはないが、2009年に全国社会人サッカー選手権大会のブロック予選で初対戦したときは敗れて本選に出場できず、2010年には神奈川県サッカー選手権(兼天皇杯予選)の決勝で再戦したときも敗れて天皇杯に出場できずと、ここぞというときに敗れている(しかも勝ったことがない)歴史がある。3度目の今回は負けるわけにはいかない。

かくして、2010年11月21日、各チームの運命を左右する戦いが始まった。

続く

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